先日、日本地理限定の大会「北原ヒロシ卒業制作」を実施させていただきました。当日ご参加いただきました皆様、ペーパーモニターとして協力してくださった皆様、本当にありがとうございます、改めて感謝申し上げます。
※大会概要はこちらのページを参照ください。
大会について振り返りたいところですが、正直なところ反省点の嵐で結構ネガティブな記事になってしまうので、それは自分の心の中に留めておきたいと思います。当日ご参加いただいた方にはアンケートフォームのURLをお送りいたしましたので、フィードバックを頂けますと大変有り難いです。
2年ほど前に「鉄道クイズ2023」を実施させていただきました。このときは相方や協力者の問題も多数あったので単純比較はできませんが、個人的に「ジャンル限定杯について思うところ」があるので、本記事ではその考えを述べたいと思います。
ジャンル限定杯でよく言われることは「結局のところ企画者が優勝(一番詳しい)」ですが、「必ずしもそうとは限らない」と主張させていただきます。
以降の文章はこの考え方に基づいて書いていますので、不快に思われる方もいらっしゃるでしょう。ですので、上記の主張に異論がある方はブラウザバックしていただくことを推奨します。
※そうでなくとも北原ヒロシは口が悪い人間なので、「一々うっせぇわ」という印象を与える文章が元より多々あります。
今大会を開催したいと思った理由
2021年に国際信州学院大学 国際観光学部 日本観光学科の学生証(なんと顔写真やICチップ付き!)を手にしました。
その年の夏頃、唐突に「卒業直前の時期に、卒業制作と銘打った大会を開催したら面白いのではないか」と思い付いたのです。
また、地元九州で個人杯を開催してくれている何人ものクイズ屋さん達に背中を押されたこともあり、2024年7月頃には腹を括りました。
とはいえ、3年間もの猶予があったにも関わらず、当時は殆ど作問していない(日頃から作問しているストックから日本地理を掻き集めても精々数十問)ということもあり、本当に間に合うのか?…という不安がありました。
そこで、お盆休みに200問作ることができたら開催を正式決定しよう!と意気込み、作問に勤しみました。結果、目標を超える数を作り上げたので、会場確保を行う等、具体的な行動に移すことに。
2024/09/01に正式告知してから丁度半年となる2025/03/01、遂に当日を迎えることになりました。
今大会のコンセプト
大会を開催するにあたり、今回様々なことに取り組みました。
(1) 郡の名前を答えてください
「現存する町村の名前を答える場合、郡の名前を含めて答えなければならない」という地獄ルールを考案しました。
これは大きく2つの意図があり、大雑把に言うと「日本地理ガチ勢なら郡も把握してるよね?」と「新しいルールの提唱者になりたい」です。後者は、一般的なクイズに於ける「東洋人はフルネーム、西洋人はファミリーネームのみでOK」や、鉄道クイズ界隈に於ける「車両形式の系・型・形は区別する」を意識しています。
(2) One More Chance
競技クイズでは、解答が惜しいときに「もう一回」や「もう一度」と宣告されることが一般的です。然し、普段はクイズをしていない人は「同じ答えを再度言えば良い」と勘違いしてしまいます。
6~7年くらい前に、普段クイズをしない人が参加し得る大会の主催者となったとき、上記のような齟齬を防ぐ目的で「One More Chance」という言い回しを導入しました。然し、その後は提唱者である自分自身を含めて誰も一切使わないので、今大会を通じて復活させたいと思いました。
これはジャンル限定でなくてもあらゆる場面で応用できるので、デファクトスタンダードにはなれなくても、細々と使われる存在になれたらなぁ…という野心があったりします。
AQLでは公式に「もう一度」という言葉が指定されている(と記憶している)ので、そのような場合は公式に合わせる必要はあります。然し、日常的な例会であったり、自分(または自分が属するサークル)主催の大会ではその辺は自由に決められるので、これを機に布教活動を始めようかなw
(3) 解答席への持ち込み品に関する規定
飽くまでこれは個人的に受けている印象ですが、高校生や大学生を中心に「解答席にぬいぐるみを持ち込む」ことをよく見掛けるような気がします。
このことに賛否はあるかもしれませんが、個人的には大賛成です。とはいえ、無法地帯になることは良くないという思いがあります。
また、決勝戦でセコンドを付ける大会もありますが、セコンドとして推しのぬいぐるみを持ち込むことが個人的な夢だったりもします。
兎にも角にも、ルール整備をしたら良いと考え、「解答席への持ち込み品について」という記事を執筆させていただきました。当日の企画書にもこれを掲載しております。
とある方が「こんな規定を設けた大会は初めてじゃないか?」と仰ってましたが、これもまた「先駆者になりたい」という想い故の行動です。
(4) 日本地理とは
前フリが日本地理と全く無関係で、後フリが日本地理(だが、前フリの時点で分かってしまう)というような問題を幾つも混ぜました。
これは鉄道クイズ2023に於ける「非鉄クイズ(鉄道オタクでなくとも分かるような、鉄道に関連する問題)」の延長線上のような存在で、「バイアスが掛かっていることにより押すタイミングに迷うかどうか」を試すような形になっています。
そういえば、いつぞやの漫アゲ限定コースで某宗教の教祖を出題……っと、こんな時間に誰か来たようだ。
そろそろ本題に入ります
スクロールしなければ見えない位置に本題を書く為、前置きがかなり長文駄文乱文になってしまいましたが、ぼちぼち本題に入ろうと思います。
最初のほうで書いた通り、「結局のところ企画者が優勝(一番詳しい)」に対しては「必ずしもそうとは限らない」と反論します。
過去の戦績
これまでに、「日本の鉄道」限定で3大会、「日本地理」限定で1大会に参加させていただきましたが、いずれも予選敗退からの敗者復活戦で撃沈という戦績でした。
抑々、個人的なクイズに対するスタンスとして「自分が勝つ(強くなる)為の努力をするより、同じパワーを使って企画者としての質を上げたい」というのがあるので、解答者としては強くないのはある意味で当然の結果です。
今でこそ競技クイズを10年以上続けていますが、過去にはクイズ研究会で4年間の幽霊部員期間がありました。その一番の理由としては「クイズ界に於ける自分の存在意義は何なのか?」という、ちょっと哲学的な悩みを抱えていたことが挙げられます。
その後、何やかんやあって(※語り始めるとあまりにも長くなるので割愛)、博士課程に進んだタイミングで復帰を遂げました。その原動力は大きく2つあり、「廃部寸前まで追い込まれたクイズ研究会の力になりたい」と「作問者/企画者としての自分という立ち位置を見出した」ことです。
前者については結果的に自分の力に依らず、当時の若い世代によって再興を果たしました。それと同時に後者が当時の自分にとって非常に大きく、以来は「クイズを作ることは楽しい」という想いが基礎になっていると感じています。
特に変化球クイズやクソクイズを作る機会が増えてきた今日この頃ですが、まさに「真面目に不真面目」が大変面白いと勝手に思っています。
そんなことばかりやっているのだから、プレイヤーとしては一向に成長しません。でも、それで良いのです。「自分が楽しいと思える形で関わり続ける」のが、長く続けられる秘訣ではないでしょうか?
色々話が発散しましたが、プレイヤー≠クリエイターである以上、企画者≠優勝者(猛者)だと考えているのです。
ジャンル限定杯は誰でもできるのか?
他のジャンルがどうなのかは正直なところ分かりません。ただ、今大会のテーマとなった日本地理に関して言えば「不可能ではない」と主張します。
まず、47都道府県のWikipediaのページを開きます。全都道府県を覚えていなくても、ネットで調べれば都道府県一覧は手に入るので、以降は「都道府県名に関する情報」は揃っていることを前提とします。
次に、そのページにある「出題できそうな事柄」と「市町村名」を押さえておきます。そして、それらについて更にWikipediaサーフィンをします。そうすると、都道府県や市町村の地理・歴史・環境・交通・施設等の情報が得られます。それを基に裏取りを行えば、問題を作ることはできると思います。
加えて、それなりの大きさの書店に行けばガイドブックの類が沢山あります。ある都市に限った本もあり、広く日本全体を網羅した『日本の●● ▲選』といった本もあります。金にものを言わせれば、情報を得ることは決して難しくありません。エンディングの茶番は特にこの点を主張する為に行いました。
と、ここまでは恰も「誰でもできる」と言いたげな文章が並んでいますが、一番肝心なのは「そのジャンル限定杯を完遂するモチベーション」だとも考えています。なので、「誰でもできるのか?」に対しては「不可能ではないが、モチベーションが保てるかどうかはその人に依る」という結論です。
自分の場合は国内旅行が好きなので、モチベーションが下がることはまずありませんでした。寧ろ「やりたくてしょうがない」くらいでしたし、大会が終わった今は「またやりたい」という想いで一杯です。
補足
これはクイズに限った話ではなく、どんな分野でも一定数の「オタク」と呼ばれる人達が居ますが、その一部の人は「自分はそこまでオタクじゃない」と主張するそうです。
その理由はシンプルで、「上には上が居る」ことを理解しており、「自身がその域に達していないと考えているから」とのこと。
今大会ではぶっちゃけ「こんな難問で正解が出るのか?」と思いつつ出題したものが幾つもありますが、予想に反して正解が出た問題も少なくありません。「上には上が居る」んだなぁと改めて感じました。
最後に一言
人それぞれ、クイズへの向き合い方、クイズの楽しみ方がある、それで良いじゃないか、人間だもの。